どうも今の日本では「筋肉を鍛えれば体の痛みは改善する」というような風潮が蔓延しているように感じます。というのも、「膝が痛くなったので毎日歩いていたのですが、そうしたら膝がよけいに痛くなりました」とか「腰が痛くて施術をうけに行ったら腹筋を鍛えるように言われました。そして腹筋運動をしたのですが腰の痛みはまったく変わりませんでした」というような方に時々お会いするからです。

このように言うと「筋肉のトレーニングはやらないほうがいい」と言っているように聞こえるかもしれませんが、決してトレーニングすることを否定している訳ではありません。むしろやったほうがいいことも多々あります。ようはトレーニングがいいとか悪いとかいうことではなくて、筋肉を鍛えたほうが楽になる症状なのかそれとも筋肉を鍛えるとかえってダメージを与えてしまう症状なのか、またトレーニングをやったほうがいい場合はどのような運動をどのくらいやるのが最適なのかをきちんと見極ることが重要です。

急性の症状や損傷（ケガ）、炎症、神経痛のような症状のときは、痛いところにあまり負担をかけないほうがよいでしょう。また筋肉が硬くなっていることが原因で体に痛みが出ているときは、トレーニングによってさらに筋肉を硬くしてしまうと症状が悪化します。でも、やり方によっては筋肉がゆるむこともあります。

そして関節や軟骨の状態がよくないときは、筋肉をつけて関節や軟骨に負担がかからないようにすると痛みは軽減されます。ただし、無茶なトレーニングをして関節や軟骨をよけい壊さないように安全な方法でトレーニングをすることが大事です。

ちなみに、当店では腰痛の原因が実はお腹の硬さだったという方がかなり多いですね。その場合、お腹の筋肉を硬くしてしまうようなトレーニングはよくありません。また腰痛の原因が、腰骨の変形によるものだったり骨と骨の間にあるクッション（椎間板）の異常だったりする場合は、その症状にあった運動をするのならいいのですが、逆のことをすれば症状は悪化するでしょう。

ひどい症状を改善するには、いくらか時間がかかかるかもしれません。でも症状に合わないことをすれば、意外にはやく悪化していったりすることもあります。なので症状のひどい方ほど慎重にいきましょう。できればよい施術をうけて体の調子をある程度改善させてから、必要ならば適切な指導のもとでトレーニングをするほうが安全でしょうね。